江差を空から(あるいは地図上で)見ると、海に突き出すように扇型に広がる小さな島があります。まるでかもめのようなかたちをしたその島の名は、かもめ島。北海道立自然公園の特別区域にも指定されているかもめ島は自然豊かな癒しスポットでもあります。500年以上前の伝説を今に伝える瓶子岩や馬岩、自然がつくり上げたアートともいうべき千畳敷など見どころはもちろん、キャンプや釣りなどを楽しむことも。お散歩コースとしてもおすすめです。
◎この人に聞いたよ。
かもめ
江差のまちを空から見守り18代目
江差生まれ江差育ち、空飛ぶやつはだいたい友だち
聞き手:しげっち
(江差町公式キャラクター)
話好きだが今回は聞き役。幕末、
江差に実在したとんち名人。大酒
のみだが、甘いもの大好き。
江差のかもめ
今は防波堤のおかげで地つづきになってるから歩いて気軽に渡れるけど、
むかしは船じゃないと渡れなかったんだよな。
わたしたちは今もむかしも、飛んで渡ってますけどね。
しかも、むかしは弁天島って名前だったよな。
呼び名は変わっても、この島には今もむかしも変わらない、
豊かな自然があふれています。
義経伝説の馬岩も、にしん豊漁伝説の瓶子岩も、むかーしから変わらずあるもんな。
江戸時代にできた灯台は、明治、昭和と変貌を遂げましたが、今もいい味出してますよね。
うん、いいよな。あの階段をのぼって、日本海を見渡すのも気持ちいいんだで。
ほかにも弁慶の足跡と呼ばれる岩盤や、江戸時代後期のテカエシ台場跡・キネツカ台場跡、
厳島神社など、見どころもたくさんありますね。
自然と歴史が融合してるんだよな。
北海道のグランドキャニオンなんて呼んでる人もいるみたいですよ。
おれ、グランドキャニオンは知らねえけど、
だとしたらグランドキャニオンもとびきりいいどごなんだべな。
海抜20mの島は周囲全長2.6kmで、お散歩にもちょうどいいと思います。
キャンプ場もあるんだよな。
そして夕日が、とびきりきれいなんですよね。
瓶子岩
今から約500年前、預言者として江差の人々に慕われていた姥が、翁から渡されたという小さな瓶に入った神水を教えられた通り海に注いだところ、江差に大量のにしんが現れ、それをきっかけに江差が繁栄したという逸話を持つ岩。毎年7月の第1土・日曜に開催されるかもめ島祭では、この瓶子岩に全長30mにもおよぶしめ縄が江差の若者漁師たちによってかけられます。
馬岩
岩手県の衣川で討ち死にされたとされている源義経は、実は生き伸び、江差を通り(江差の首長の娘と恋仲になったのち)、さらに北に逃げたというのは江差の定説。かもめ島の断崖にある白い岩は義経が逃げる際に泣く泣く置いていった白馬の化身だと言われているんです。夏は、かもめ島の左岸を岩づたいに進めば、近くで見ることもできますよ。)
江差のシンボル、かもめ島
かもめ島の海岸線に沿うようにつくられた散策路は、ゆっくり歩いても約2時間で一周することが出来るので、ちょっとしたお散歩にぴったり。史跡めぐりもよし、家族やお友だちとキャンプを楽しむもよし、ただ海を眺め潮風に耳を澄ませるのもよし、島に広がる芝生でピクニックするもよし、もちろん釣りをするもよし。春夏秋冬それぞれに味わい深いいい場所です。