江差を語る上で欠かせないものの一つに「江差追分」があります。「江差追分」とは、江戸時代から信州中仙道で唄われた馬子唄をルーツとする民謡で、船乗りとともに海を渡ってこの地にやってきました。北国の厳しい自然と生活のなかで磨かれ育まれてきた「江差追分」は、人間讃歌として200年以上もの長い間、江差のみならず世界中で唄いつがれています。江差追分会館に来れば、全国大会優勝者や追分師匠による本場の江差追分を聴くこともできますよ。
◎この人に聞きました。
木村香澄(きむらかずみ)さん
民謡歌手/江差生まれ育ち。
お父さんの影響で江差追分をはじめ、
江差追分全国大会など数々の大会で優勝経験を持つ。
CMソングやラジオなどでも活躍。
聞き手:しげっち
(江差町公式キャラクター)
話好きだが今回は聞き役。幕末、
江差に実在したとんち名人。大酒
のみだが、甘いもの大好き。
民謡歌手 木村香澄さん
おれ、木村さんのファンでよ。
江差追分会館ではじめてその歌声を聴いたとき、感動して鳥肌立ったの今も覚えでるよ。
本唄は約3分。ひと節が最大で28秒ブレスしないで歌いきらなきゃいけないから、
とにかく練習を重ねて歌いこまないと、中々かんたんには歌えるものじゃないんですよ。
すげーよな。天才だもの。
生まれたときからずっと聴いていて、テレビのアイドルなんかよりもずっと追分が好きな子でした。小3ではじめて大会に出て、それから3年連続で優勝しました。もう、楽しくてね。けど6年生の後半から声が出なくなってしまったんです。何軒も病院に行って、結果変声期という診断でした。地元でも注目されて、これからってときに声が出なくなってしまったのは本当に辛くて、もうやめようと思いました。
けど、やめなかったんだな?
それまではとにかく楽しくて歌ってたんですけど、声が出なくなってやめようと思いながらもそれでも追分を聴いていたら、追分の歌詞の本当の意味がやっとわかったというか、沁みてきて。
自分が苦しいからやめる歌じゃないよって、追分に言われてる気がして。
声は出なくてもそれから地道に練習しました。
うんうん。
一攫千金を夢見て、北前船に乗って江差にやって来た男たちが、命を落とすかもしれない状況で、
故郷を捨てる悲しみとか、愛する人や家族を置いてきた寂しさとか、
江差追分にはその喜怒哀楽がすべて詰まっているんですよね
うん、なまら沁みる。
追分って深いんですよね。年を取るごとにその深みにはまっていきます。
うんうん。聴いたことないやつは聴いたほうがいいと思うよ。
江差追分をもっと身近に感じてもらいたいと思って、
10年ぐらい前からギターやピアノを使って現代風にアレンジしたりもしています。
いいね!
北海道代表として以前テレビに出たことがあったんですが、それを見ていた細野晴臣さんから連絡をいただいて、14歳のときにレコーディングさせてもらったこともありました。当時は民謡一筋で、YMOも知らなかったのですが(笑)。それから宇崎竜童さんや大黒摩季さん、松山千春さんなどとも、江差追分を通して接点を持つことが出来たんです。きっとみなさんにも、一度聴いてもらえたらわかると思うんですよね、江差追分の魅力。
んだな。
江差追分は、一度聞いて惚れ、二度聞いて酔い、三度聞いて涙するって言われているんです。
わがるわ。
1日3回、江差追分会館では江差追分の実演があるので、ぜひいらして聴いてください。
行ぐ行ぐ!
人生の喜怒哀楽を何かしら感じ取っていただけたらうれしいです。
江差追分会館・江差山車会館
江差町字中歌町193-3
☎0139-52-0920
(営)9:00〜17:00
入館料/大人500円、小・中・高校生250円 ※15名以上の団体は1割引
休館日:4月〜10月は無休 11月〜3月は月曜と祝日の翌日
年末年始(12月31日〜1月5日)
http://www.hokkaido-esashi.jp/modules/sightseeing/content0088.html
江差のこころ、江差追分。
江差追分の歴史と文化を今に伝えるべく、昭和57年に建てられた「江差追分会館」では、4月末から10月までの毎日、江差追分と地元北海道民謡の実演を行っています。江差屏風絵を描いた豪華な緞帳、そして約百畳にもおよぶ畳敷きの桟敷席。どうぞ、ゆったりとくつろいで御覧ください。