約370年という北海道で最も古い歴史を持ち、日本を代表する神事の一つでもある祭、それが姥神大神宮渡御祭(うばがみだいじんぐうとぎょさい)です。毎年8月9日から11日までの三日間、豪華絢爛な山車(やま)一行は祇園囃子の流れをくむ独特の調べにのって町中を練り歩き、まちの熱気は最高潮に。姥神大神宮前で神輿を担いだまま石段を勢いよく駆け上がる「神輿宿入之儀」や13台の山車が灯火を纏ってずらりと並ぶ「全山車揃い祭囃子競演」など見どころ多数、迫力満点。
◎この人に聞いたぜ。
菱田昭彦さん
江差モーター商会取締役社長
中歌町蛭子山保存会会長
三度の飯より祭好き!
和太鼓の腕もピカイチだぜ。
聞き手:しげっち
(江差町公式キャラクター)
話好きだが今回は聞き役。幕末、
江差に実在したとんち名人。大酒
のみだが、甘いもの大好き。
中歌町蛭子山保存会会長 菱田昭彦さん
江差といえば、やっぱり祭は欠かせないよな。
姥神大神宮渡御祭ですね。
かれこれ約370年。北海道で一番歴史がある祭だもんな。
江差からにしんを運んだ北前船は、京都からたくさんの人と物、そして文化を乗せてきました。
姥神大神宮渡御祭もその一つ。姥神大神宮渡御祭は京都祇園祭を由来としています。
むかしから江差のみんなは祭と聞けば血が騒ぐ。
一年は、祭にはじまり、祭に終わるからなあ。
今もそれは変わりませんよ。
江差の人口8千人に対して、祭の期間中は3万人もの人が江差のまちにやってきますから。
すげーな。全国からが?
はい、全国から。
地元を離れた若者も、正月は帰ってこなくても、祭の日には必ずと言っていいほど帰ってきます。
それはうれしいことだなあ。
江差の人々はみな、今も祭中心に生きてますよ(笑)。
江差にはじめて来た観光客のみなさんも参加できるのかい?
むかしはよその人は参加できませんでしたが、今はそんな事ありませんよ。事前に連絡くれれば、半てんも用意できます。一緒に祭を盛り上げてくださいね。
だな。姥神大神宮渡御祭は見てるだけでも楽しいけど、参加したらもっと楽しい祭だからな。
江差山車(やま)会館に来ていただければ、
一年中、実物の山車や祭の様子を大型スクリーンで見ていただくこともできます。
山車は今何台あるんだい?
今は13台。各山車、自慢の水引など装飾にもそれぞれこだわりを持って守っています。その経費は、町内の寄付と3日間のご祝儀で賄っているんです。
江差の人間は、祭に寄せる思いがそれくらい熱いってことだな。
毎年、祭が開催される3日間は江差のまちが一年で一番熱くなるときですからね。
何軒か歩いたら止まって飲んで、ごちそう食って。それがまた楽しいんだよな。
1日目、まず姥神大神宮で魂入れした山車は夜11時ぐらいまで自分の町内をくまなくまわって、
二日目は坂の下の下町を、三日目は坂の上の上町を日付が変わるくらいまでまわりつづけます。
途中、何軒かのお宅に上がって、お酒を飲んだり、ごちそうをご馳走になったりするのも、
姥神大神宮渡御祭の楽しい所です。
江差のみんなはたいてい知った者同士だからいいんだけど、
よその人も来るようになった今はそのへん大丈夫なのかい?
テレビを観て、姥神大神宮渡御祭のときは誰でもご馳走になれるって思った人たちが江差に来て、
困ったこともありました(笑)。さすがにそこは、せいぜい知り合いの知り合い位までですかねぇ。
楽しみたい人は江差の人と祭りで知り合いになれば楽しみは倍増すると思いますよ。
そりゃそうだよな。ひとさまのお宅におじゃまするんだから。
楽しいけど何でもありではねぇんだな。わきまえってもんがあるからな。
姥神大神宮渡御祭の一番の盛り上がる所は、夜。
灯りをつけた山車が道幅いっぱいに並ぶ見せ場の「祭囃子(まつりばやし)競演」でしょうか。
あれは圧巻。すごい迫力ですね。
祭の話をしていたら、なんだかうずうずしてきたな。
今年も姥神大神宮渡御祭が待ち遠しい!
江差山車会館には2台の山車が全13台の中から1年交代で常設展示されています。祭開催中はなかなか見ることのできない山車の装飾、華麗な刺繍などをじっくり見るなら、ぜひこちらにお立ち寄りください。
祭の賑わいとその迫力は、会館内にある150インチの大型スクリーンで観ることも。また、常設展示されているパネルでは、姥神大神宮渡御祭の起源や歴史、巡行コース、祭のみどころなども見ることができますよ。
江差追分会館・江差山車会館
江差町字中歌町193-3
☎0139-52-0920
(営)9:00〜17:00
入館料/大人500円、小・中・高校生250円
※15名以上の団体は1割引
休館日:4月〜10月は無休
11月〜3月は月曜と祝日の翌日
年末年始(12月31日〜1月5日)
http://www.hokkaido-esashi.jp/modules/sightseeing/content0088.html
江差のこころ、姥神大神宮渡御祭。
北前船の時代、にしんで栄えた江差の人々が神様への感謝の気持ちを込めてはじめたという姥神大神宮渡御祭。約370年のその歴史は北海道遺産にも認定されています。毎年8月9日〜11日、江差が一番熱い三日間にぜひ。中歌町蛭子の山車を見かけたら、菱田さんを探してみてくださいね。